コラム

日常清掃と定期清掃について

毎日、清掃を実施しても美観は損なわれていきます。それを補填するのが定期清掃です。

 

 例えば、新築の美観を100とすると、日常清掃でどんなに頑張っても数か月後には美観は8090に下がります。それを最初に近い状態に戻すのが定期清掃です。そう考えると、日常清掃ではできるだけ建物に影響の少ないケミカルを使い、定期清掃で強いケミカルを限定的に使います。

 

 いろんな現場を巡回すると、幅木にべったりとワックスがついている現場を目にします。これは現場責任者が「お客様の大切な財産である建物をしっかりと守る」という意識が欠如している証拠です。床にワックスを塗るという作業にばっかり目がいって自分の作業を優先させた結果、建物の価値を下げてしまった事例です。当然、作業効率をあげるためのケミカルや道具の選定と手順の構築は必要ですが、本来の目的は忘れないよう気をつけましょう。

 汚れを落とすのに、物理的な力も確かに必要ですが、化学の力も確かに必要ですが、化学の力が大きなウエイトを占めているのをみなさんはご存じでしょうか?

  じつは、ふだん何気なく使っている水も、その表面張力の作用により汚れを落とす効力があり、適正に希釈することにより、その効果を最大限に発揮することができるのです。

 そして一番理解しておかなければいけないのは、酸とアルカリの関係です。皆さんは学校で、酸性 = 酸素と結合した状態・アルカリ性 = 酸素が失われた状態  と教わったのではないでしょうか。    アルカリの語源は、アラビア語の「カリ」[灰になった状態]に英語のThe と同じ意味をもつ「アル」が付いたものです。灰は燃えて酸素を失った状態で、日本でもかって洗濯に灰汁がつかわれていました。酸性の汚れはアルカリ性で落とし、アルカリ性の汚れは酸性で落とすのが基本です。人間の身体からは「参加脂肪酸」というpH6.5くらいの酸性の汚れが出ます。お風呂場で使うボディーソープは、その汚れを落とすためにpH8.5くらいのアルカリ性で設計されています。


サッシのカビの発生

窓の結露

 


結露とカビその原因とその対策

結露ができる理由として、「暖かい空気が冷えると結露する」といった漠然とした原因はよく知られています。ではどうしてそのような現象が起きるのでしょうか。結露とは、空気中の水分が凝縮される現象を指します。ガラス面に目に見える水滴となって現れたり、壁面や床面が湿っている現象が発生したりして確認されます。これはまさに、暖かい空気が冷えたときに発生します。原因は、空気が冷えたときに発生します。

 原因は、空気が含むことができる水分量を超えてしまうことです。空気中に最大含まれる水蒸気量を「飽和水蒸気量」といい、温度によって変化します。例えば、気温25 のときの飽和水蒸気量は23g/㎥ですが、気温15 のときには12.8g/㎥まで下がり、冬場に空気が冷え込み気温5 になると6.79g/㎥となり、気温が高ければ水分を多く含むことができ、気温が下がると水分を含みきれずに結露が発生するわけです。

飽和水蒸気量の限界点を「結露」といい、これを管理できれば結露は著しく減らすことができます。「気温2 、相対温度50%RH」の場合、飽和水蒸気量は23g/㎥に対して、相対温度50%RHだと半分の11.5g/㎥の水分を保有していることになります。この条件で気温をさげていくと、計算では13.2℃ で11.5g/㎥となり露点温度を迎えます。 よって「気温25℃で相対湿度50%RH」の空気は13.2℃まで気温が下がると結露が起きるということになります。このように、環境により誤差は生じますが、一つの目安として、温度と湿度のバランスを考えて、ある程度一定に保つことが結露対策となります。また、たとえ空間の温度は保てていても、窓際や窓ガラスによく結露が発生します。これは外気に晒されたガラスや壁面の表面温度が、露点に達していることが原因です。最近は、真空層を取り入れた断熱ガラスやフィルムなどの開発が進み、結露対策も進んできていますが、環境によりそう簡単に止められていないのが実情のようです。窓際の表面温度を保つには、暖かい空気の環境を工夫してみたり、窓際にヒーターを設置するなどの工夫も効果を発揮するかもしれません。次に、結露により発生したカビの被害について触れておきます。窓ガラスまわりのパッキンにカビが発生しているほとんどの原因が、この表面温度の低下による結露です。また、室内の壁面によるカビ被害が発生し、劣悪な場合は壁紙などの内側まで到達し、ボード下地まで犯してしまう事例も多々あります。建物を長く維持するには、空気環境に目を向けることが重要です。